無垢の木の素晴らしさ木には温もりがあり、厚みのある木材は手で触れれば温かさを感じるほどです。これは新建材などの工業製品には見られない、生きた素材ならではの特長といえます。特に無垢の木には優れた調湿作用もあり、生活環境を整える大きな力として見逃せません。新建材は用いたときが最も美しく、次第に色あせていきますが、無垢の木は年とともに本来の色艶が表れて、手入れによって美しさが磨かれ、家の味わいを深めてくれるでしょう。木は「くるい」、「強くなる」木材が水分を失うと細胞が縮み(収縮)、水分を吸収すると膨らみます(膨張)。一般的に木は徐々に乾燥し、収縮していきます。こういった木の「くるい」は、木が生きているゆえんであり、避けては通れません。しかし、この「くるい」こそ木材の組織が結合し強度を増していく過程の始まりです。いつも乾燥した状態であれば木材は腐ることなくいつまでも長持ちし、その地域の空気の湿度と釣り合った後は、数百年にわたり硬くなってゆくのです。なごやかな空間、木の家人の情緒は、その人の生まれ育った環境因子…気候・風景・住居・生活様式・人間関係等が統合されて形成されます。人類の営みの始まりは森林にあり、人々は木々に暗黙の安らぎを覚えます。人々は材木という材料の申に、視覚・触覚・聴覚・臭覚・味覚等を通して、「自然な」、「和やかな」、「落ち着く」、「深みのある」等のイメージを抱きます。木の床のよさ床の材料によって、人聞のひざなどの温度がどのくらい下がってくるかを測った例があります。それによると、木の床では最初は足の温度がちょっと下がっても時聞が経つと徐々に上がっていきます。しかし、コンクリー卜の床では熱がどんどん奪われて、足の温度は下がっていきます。また、室内が乾燥すると舞い上がりやすいホコリが、無垢の木の床では木の調湿作用がはたらくため舞い上がりにくいというよさもあります。木材は火に強い木材は燃えますが、だからといって弱いということではありません。木材は空気をいっぱい含んでいるため熱を中に伝えにくく、しかもゆっくり燃えていくので、急に強度が落ちることはないのです。厚い板や断面の大きな木材を天井や壁に使っていれば、火災が起きたとしても火の拡大を遅らせることができるでしょう。逆に、アルミはある温度になると溶けるため、高温になると軟らかくなり急激に強度が落ちてしまいます。熱伝導率と断熱効果熱の伝わりやすさを示す単位を熱伝導率といいます。木材は鉄やコンクリートよりも熱伝導率がかなり低く、優れた断熱効果を持っているということが解ります。マウスによる実験でも、木・コンクリート・金属の箱によって熱の奪われ方が変わり、それによって子供の生存率や母マウスの授乳時聞に違いが表れました。さらに、熱を奪われるとストレスが生じ、落ち着きがなくなるということも認められています。木は鉄より強い木材は他の材と比べて、軽くて強いと言われています。 「引張り強さ」は㎠の断面の棒が何kgの重さに耐えられるか、また「圧縮強さ」は1㎠の断面のサイコロをつぶすのにどのくらいの力が必要かを示します。重さあたりの強さで比べると、「引張り強さ」も「圧縮強さ」も木のほうが鉄よりも強いことがわかります。これは、同じ建物を造るときに軽くできるということです。建物が軽ければ、基礎工事をさほど大げさにしなくても済むという利点もあります。木造の校舎はひとにやさしい全国の小学校の教員に対して、蓄積的疲労微候調査をした結果によると、木造校舎と内装に木質を多用した鉄筋コンクリート造りの校舎は、鉄筋コンクリー卜造校舎に対して疲労の訴えが少ないことが解ります。疲労の程度は個人のライフスタイルとの因果関係が強いと考えられますが、木造の校舎が教員や生徒にやさしいということが推定できます。